人事異動の多い時期はいつ?適切な内示タイミングや転勤にありがちな問題点を解説
全国的に、人事異動が集中する時期があることをご存じの方は多いと思います。企業の人事担当者となれば、異動に伴う従業員の引継ぎや引っ越しなどを踏まえて 内示のタイミングを決めなければなりません。
本記事では、人事異動の時期や内示の適切なタイミング、また人事異動の集中する時期の転勤で考えられる問題点や、引っ越しの伴う転勤をスムーズに進めるポイントなどについて解説します。ぜひ参考にしてみてください。
目次
人事異動の多い時期はいつ?
人事異動の多い時期について、もちろん業界や各企業で事情は異なりますが、一般的には4月と10月が多いとされています。これは、日本の企業の多くが3月決算にしていることが理由の一つです。新しい期のスタートとなる4月を目途に、人事異動を発令する企業が多いのです。同じく、10月に異動が多い理由としては、9月決算の企業が多く、期の変わるタイミングで人事異動を行うからだといえるでしょう。
ちなみに、ニッセイ基礎研究所の記事によると、平成29年度の決算期別の法人数は3月決算が最も多く19.0%、次いで多いのが9月で10.8%となっています。その他、夏の人事異動となる8月などに人事異動が発表されることもあります。また公務員の場合は上半期・下半期で分かれる仕事ではないため、4月の転勤が多いことが特徴です。
なお、アパレル関係の企業の場合は、季節の変わり目で行われるバーゲンセールが終わった後、落ち着いたタイミングということで2月と8月に異動が発表されることが多いです。同様に、鉄道業界は新年度の混雑が落ち着いた7月が多いなど、業界によって傾向が異なります。半年や1年などの短いサイクルで実施する企業や、2年~4年に1度のサイクルで実施する企業があります。
人事異動が集中する時期には様々な問題点があります。業務が煩雑になりやすくなるため、社宅代行会社に委託する企業も多いようです。
内示の適切なタイミングとは?
人事異動を伝える内示の適切なタイミングは、何日前がよいのでしょうか。内示のタイミングについて、法的な決まりはありません。従業員に内示を伝えるタイミングについては、転居を伴う場合と伴わない場合とで別に考えることが大切です。
転居を伴う異動の場合
転居を伴う人事異動の場合は転居先を選定したり、引っ越ししたりする必要があることから、遅くとも1ヶ月前頃には内示を出すのがおすすめです。なお、家族を伴う転居が必要な場合は、お子さまの学校などの問題から、3ヶ月~6ヶ月頃前までに内示を出せるとよいといえます。
転居を伴わない異動の場合
転居を伴わない人事異動の場合は、人事異動の1週間から1ヶ月前を目処に内示を出すとよいでしょう。
なお、少し古いデータですが、2017年に行われた独立行政法人 労働政策研究・研修機構による「企業の転勤の実態に関する調査」によると、「転勤前の打診時期」は2週間~1ヶ月前が一番多く、30.7%と最も多くなっています。
人事異動の集中する時期の転勤で考えられる問題点
法人の決算期は3月と9月が多いことから、新しい期が始まる4月と10月に人事異動が集中してしまいます。特に4月は新年度ということもあり、大学生なども新居を求めることから、この時期に人事異動を発する場合には注意しなければなりません。
ここでは、人事異動の集中する時期の転勤で考えられる問題点について紹介します。
具体的には、以下のようなことが挙げられます。
- 赴任先での新居となる物件が見つかりにくい
- 希望日に引っ越しができない
- 引っ越し料金が繁忙期価格で高い
- 転勤に関連するコストが増える可能性がある
それぞれ、詳しく見ていきましょう。
赴任先での新居となる物件が見つかりにくい
4月や10月は人事異動が重なる時期であり、転居が必要な人事異動の場合は、赴任先で新居を探さなければなりません。自社以外にも多くの企業で4月や10月に人事異動が行われることから、希望の物件を先に押さえられてしまったり、不動産会社と都合がつきにくかったり、といった事態に巻き込まれやすいです。
希望日に引っ越しができない
人事異動の集中する時期の転勤では、希望日に引っ越しができない可能性があります。特に3~4月は進学も重なり引っ越しする人が多くなることから、引っ越し業者のスケジュールが埋まってしまう場合があるのです。
早い段階で引越し業者のスケジュールを押さえることができればよいのですが、ぎりぎりのタイミングで内示が出た場合など、引っ越し業者をつかまえることができない事態も想定できるでしょう。
引っ越し業者の問題以外には、内示後に後任への引き継ぎ作業が発生し、業務スケジュールが立て込んでしまうことで、希望日に引っ越しができないことも考えられます。
引っ越し料金が繁忙期価格で高い
引っ越しの多くなる4月や10月とその前後は引っ越し業者も繁忙期となるため、割高料金となってしまう可能性があります。需要と供給の問題で、最初から引っ越し業者が高い金額を提示しているケースもあれば、すでにスケジュールが埋まっているところに無理を言ってお願いすることで、費用が高くなってしまうケースも考えられるでしょう。
引っ越し業者を相見積もりすることができれば、より安い価格で請けてくれる業者を選ぶこともできますが、内示から転勤までの日が短いと難しいこともあります。また、そもそも引っ越し業者が多忙で見積もりを受け付けてくれないケースも考えられます。
転勤に関連するコストが増える可能性がある
企業側としては、上記のような理由で従業員が予定通りに引っ越しできなかった場合に、コストが増えてしまう可能性がある点に注意が必要です。予定通りに従業員が引っ越しできなかった場合、ホテル代や引っ越し代などの企業負担が発生してしまう可能性があるからです。
引っ越しの伴う転勤をスムーズに進めるポイント
最後に、引っ越しの伴う転勤をスムーズに進めるポイントをご紹介します。
具体的には以下の2つです。
- 着任までの日程に猶予を設ける
- 社宅制度を導入する
それぞれ、具体的に解説します。
着任までの日程に猶予を設ける
まずは、着任までの日程に猶予を設けることを考えるとよいでしょう。内示から転勤日までの時間に余裕を持たせれば、引き継ぎに十分な時間をかけることが可能です。また、可能であれば転勤日を4月や10月からズラすなどすると、よりリスクを低減しやすくなります。
社宅制度を導入する
社宅制度の導入を検討するのも一つの方法です。社宅であれば、対不動産会社の入居時の各種手続きを会社が行うことになるため、従業員側の手間を省くことができます。引越前の仕事に仕事の引き継ぎなどで忙しくて引越を進める時間が取れないといった問題を解消できるでしょう。社宅制度は住宅手当と比べて節税につながるといったメリットがある点もポイントです。
人事異動が重なる時期に起こりうるリスクを避けるための一つの方法として、社宅制度の導入を検討してみてはいかがでしょうか。
まとめ
今回は、人事異動の時期や人事異動が集中する時期に起こりうるリスク、引越の伴う移転をスムーズに進めるポイントについてお伝えしました。日本では、3月決算や9月決算が多く、新しく期が始まる4月や10月に人事異動が集中する傾向にあります。これらの時期に人事異動する場合、赴任先で新居を探しにくかったり、引越業者の費用が高くなったりといった問題が起こりえるでしょう。
そうしたリスクの回避方法としておすすめなのが、社宅制度の導入です。社宅制度の導入により、赴任先で新居が見つからないといった問題を低減できるでしょう。一方、社宅制度の導入には、社宅を借り入れるための物件選定や契約など各種、手間が増えてしまう点には注意しなければなりません。
こうした問題については、社宅代行サービスの利用を検討するのがおすすめです。社宅代行サービスを利用すれば、さまざまな業務を代行して貰えるのに加え、プロの手による質の高いサービスを提供できるため、従業員の満足度向上にもつながります。
社宅代行サービスにもいろいろありますが、特におすすめなのは20年以上の社宅代行業務のノウハウがある東急社宅マネジメントです。人事異動の時期が重なる問題について悩んでおり、社宅制度の導入を検討されている方や、東急社宅マネジメントの利用を検討するとよいでしょう。